【豆知識】揚げ油の種類と選び方

調理豆知識

油には多くの種類があるのはご存知でしょうか?
特に揚げ物の場合、揚げ油の種類によって風味が変わるのは有名なお話です。
今回は、揚げ油の種類とその特徴について解説します。
油の選び方で悩んでる方は、ぜひ参考にしてみてください。

揚げ油の種類

揚げ油は高温に熱して使うため、熱に強く、煙点(油が煙を出す温度)が高く、酸化しづらい油がおすすめです。

サラダ油

サラダ油とは、精製された植物油です。
菜種や大豆、とうもろこしなど様々な植物から作られています。
日本家庭料理でよく使われる定番の油の1つです。
低温でも油が固まらず、基本的ににおいやクセのない油です。
揚げ物はもちろん、炒め物やドレッシングなどにも使われる汎用性の高い油です。

キャノーラ油(菜種油)

キャノーラ油とは、菜種油の一種です。
品種改良されたキャノーラの種子(サラダ油の原料のひとつ)から作られます。
日本家庭料理でよく使われる定番の油の1つです。
サラダ油と同じく、低温でも油が固まらず、基本的ににおいやクセのない油です。
揚げ物はもちろん、炒め物やドレッシングなどにも使われる汎用性の高い油です。

ごま油

ごま油とは、焙煎したごまから絞って作られた油です。
100%ごまから作られる「純性ごま油」と、他の食用油が混ざった「調合ごま油」があります。
独特の香ばしい風味が特徴で、天ぷら料理にお勧めです。
中華料理をはじめ多くの料理にも使用されるほか、風味付けにも使われます。

米油

米油とは、米ぬかから作られる植物油です。
なめらかな口当たりが特徴で、においやクセもなく、玄米由来の栄養素も豊富です。
米油は高い煙点を有しているため酸化しにくく、揚げ物にお勧めです。
炒め物やドレッシングなどにも使われる汎用性の高い油です。

サフラワー油(べに花油)

サフラワー油は、べに花の種子から作られる油です。
くせのないあっさりした軽い風味が特徴で、熱にも強い油です。
揚げ物に使うと、軽い仕上がりになります。
炒め物やマリネ、ドレッシングなどにも使われる汎用性の高い油です。

ラード

ラードとは、豚の背油のことを指します。
100%豚油でできた「純製ラード」と、他の食用油が混ざった「調製ラード」があります。
こってりとした風味が特徴で、フライやとんかつ料理などで重宝されています。
40度以上に熱すると溶けて液状になります。
揚げ物の他に、炒め物や料理の具材としても使われます。

揚げ油に適さない油

揚げ油には、熱に弱く煙点の低い油や、酸化しやすい油、リノール酸を多く含む(加熱するとトランス脂肪酸に変化しやすい)植物油は適しません。トランス脂肪酸は、善玉(HDL)コレステロールを減らし、悪玉(LDL)コレステロールを増やす特徴があります。多量に摂取すると心疾患のリスクを高めるとも言われています。

オリーブオイル ※揚げ物に使える種類もあります!

オリーブオイルとは、オリーブの実の果肉から作られる植物油です。
良質なコクと風味を有しており、多くの洋食料理で使われています。
揚げ物はもちろん、炒め物やドレッシングなどにも使われる汎用性の高い油です。
一方で、オリーブオイルの種類によっては煙点が低く、高温で熱すると有害物質を発生させるものもあります。オリーブオイルを揚げ物で使用する際は、煙点の高い種類(ピュアオリーブオイルなど)を選ぶようにしましょう。また使用する際は、酸化していない新しい油を使い、煙が出るほど高温になりすぎないよう温度操作に注意するようにしましょう。

ココナッツオイル ※扱う場合は細心の注意が必要!

ココナッツオイルとは、ココヤシの実の胚乳から作られる植物油です。
25度以上で液体になり、他の植物油に比べて酸化されにくく、加熱料理に適しています。
一方で、揚げ物料理の初心者には絶対にお勧めできない油でもあります。
煙点が低いため、高温の揚げ物料理には適しません。
温度操作を誤ると煙が出やすく引火する危険性があります。
また、他の油と混ぜて使うと吹きこぼれや引火の危険もあるため使用する際は注意が必要です。

MCTオイル

MCTオイルとは、ヤシ科植物に含まれる中鎖脂肪酸(MCT)で作られる食用油です。
煙点が非常に低いため、揚げ物や炒め物等、加熱調理では使えません。

パーム油

パーム油とは、アブラヤシから作られる植物油です。
スナック菓子等で使われていることが多く、固形にも液体にもしやすい性質があります。
一般家庭で使われることはまずないでしょうが、日本人にとって身近な油の一つです。
一方で生産現場の環境問題や、飽和脂肪酸を多く含むための健康リスクなど問題も多い油です。
家庭料理…特に油を多く使う揚げ物料理では、使用しないことをお勧めします。

コーン油

コーン油とは、とうもろこしの胚芽から作られる油です。
コーン油は加熱に強く、揚げ物にもおすすめされる油の一つです。
一方で、リノール酸を多く含む植物油の1種です。
そのため家庭での揚げ物料理で使用すると、過剰摂取に繋がる恐れがあるためお勧めできません。

大豆油

大豆油は、大豆から作られる油です。
天ぷら油等に使用されることがあり、特有の旨味とコクがあります。
一方で、リノール酸を多く含む植物油の1種です。
そのため家庭での揚げ物料理で使用すると、過剰摂取に繋がる恐れがあるためお勧めできません。
また、熱によって変化しやすく、そのまま使うとカラッと揚がりにくい特徴があります。

綿実油

綿実油とは、ワタの種子から作られる油です。
まろやかな風味と油切れが良い特徴から、天ぷらや揚げ物料理等でよく使用されます。
一方で、リノール酸を多く含む植物油の1種です。
そのため家庭での揚げ物料理で使用すると、過剰摂取に繋がる恐れがあるためお勧めできません。

古くなった食用油

油の種類は問わず、古くなった食用油は酸化が進んでいる可能性があります。
煙点の低下や風味の劣化だけでなく、健康面にも悪影響を及ぼす危険性があります。
古くなった食用油は、適切な方法で処理し、廃棄するようにしましょう。

揚げ油の選び方

揚げ物をする際のおすすめの油の選び方をご紹介します。
何を優先したいのかを考えながら、参考にしてみてください。

温度で使い分ける

揚げ油を選択する際に、煙点を意識して選ぼようにしましょう。
油を加熱した際に煙が出ると、油の酸化がすすみ有害物質が発生します。
揚げ物をする際の油の温度に適した煙点の油を選択しましょう。

  • 200度以上の場合:ごま油、米油、キャノーラ油
  • 180度前後の場合:サラダ油
  • 160度前後の場合:オリーブオイル

風味で使い分ける

揚げ物料理は、油によって風味が異なった仕上がりになります。
料理や好みに合った油を選ぶことで美味しく召し上がることができます。

  • クセの少ない風味:サラダ油、キャノーラ油 等
  • 香ばしい風味:ごま油 等
  • あっさりした軽い風味:米油、サフラワー油(べに花油) 等
  • こってりした風味:ラード 等

料理で使い分ける

素揚げ

160度前後の低温での素揚げでは、オリーブオイル含め食用油全般お使いいただけます。
根菜類など火の通りにくいものは、低温でじっくり素揚げします。

170~180度ほどの素揚げでは、煙点の低い油(オリーブオイルやココナッツオイル等)は避けるようにしましょう。

衣揚げ(唐揚げ・トンカツ・コロッケ・エビフライ等)

衣揚げは、サラダ油、キャノーラ油、ごま油、米油、サフラワー油(べに花油)、ラード、オリーブオイル等、様々な油で調理可能です。

油の選択する際は、揚げ物に求める風味と調理時の温度を基準に選択することをお勧めします。

天ぷら

天ぷらに一番お勧めする油は、サラダ油とごま油を8:2で配合した混合油です。
サラダ油による衣の美しさにごま油による風味が加わり、より美味しく仕上がります。

混合油を使うのが手間な方は、サラダ油をお勧めします。
衣がより綺麗な黄金色に仕上がります。
サラダ油がない方は、キャノーラ油でも美味しく仕上がります。

また、衣が軽めな天ぷらを仕上げたい方は、米油もお勧めです。
油の切れが良いため、カラッと仕上がります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました